ふと、思い出す出来事
雨が、降る。
窓に当たる雫を見ていると、なぜかアイツのことを思い出す。
(また中尉に脅されてるかな)
いつもは自信過剰なほどに堂々としているくせに、雨が降り出すととたんに情けない顔になる変なヤツ。
と、言っても、オレはその姿を見たことがない。
オレの前では何時だって、嫌味なくらい爽やかな笑みをうかべている。
一度、言ってみたことがあった。半分冗談、半分本気で、『あんたの情けない顔が見てみたい』と。
にっこり笑って『君がいる限りは無理かな。』と答えが返ってきたけれど、イマイチよく解らなかった。
釈然とはしなかったけど、アイツが本当の笑顔を向けるのはオレだけだと言っていたから、
(まあ、あの時は許したけど・・・)
でも、やっぱりあのどこか含んだ物言いは気になる。理解できるまでしつこく答えを求めるのは、やはり
錬金術師の性と言うやつだろうか。
いつもは連絡なんて入れないけれど
(たまには、いいか)
宿の電話を借りて、コールする。コードを言ってアイツに繋がるまでの間、なんとなく落ち着かない。
そんな気分を味わってまで、聞きたいのかと思うと、自分も相当毒されてる。
(オレも人のこと言えないってことか。)
こんなことを思うのはきっと、雨のせい。
随分前のやり取りを思い出してしまったのも、それを口実に電話をかけていることも。
本当はただ、あの声を聞きたいだけ。
自分の思考に苦笑しつつ、この後のことを考えた。
次は、何処へ行こうか。北か、南か。この前聞いた西の伝承を当たってみるのもいいかもしれない。
あらかた回ったら 東へ。
回線を繋ぐ雑音が止まった。
相手の顔の見えない状態で話すのは少し、緊張する。まあそんなもの、話し始めてしまえば何ともないが。
軽く息を吐く。
なるべく子供っぽくならないように気をつけて、
「あ、大佐。オレだけど ―――」
あとがき
初書き小説です。短っ!何でしょうこの短さ。そして曖昧さ。
・・・精進したいと思います。